某月某日
三岸好太郎・節子賞展の第1回展が今年1月から3月まで、札幌市の北海道立三岸好太郎美術館で開催された。「つねに未知の領域に挑戦し続け、近代洋画史上に大きな足跡を残した」二人の画業を記念して、新世紀の美術を「切り開く意欲的で個性豊かな作品」を募うという意図。応募作495点から大賞2点、入選28点の計30点が展示された。私はあまりに遠い会場に足を運びか
ね、見そこねていたところ、高輪画廊で大賞受賞者の2人展が開かれた。早速楽しみに初日に出かけた。
先人を顕賞し記念した個人冠のコンクールはいくつもある。前田寛次、小磯良平、etc...。それによって新しい才能が発掘され、多額な賞金が授与されることは結構なことであり、主催者側のご苦労もよく承知しているつもりだが、そのどれにも特徴というか独自性の希少なことに、正直いって私は不満がある。その点ではこの賞も同工異曲のように見受けられる。
入選率6%という厳選はこうしたコンクールでは異例の数字ではなかろうか。審査員の厳格さを喜びたいという反面、期待されたほどの質の良い作品が少なかったのではという一抹の危惧の念も抱いていた。
不幸にも後者の危惧が当たってしまった。がそれは審査員の責任でも受賞者のそれでもない。こちらの思い込みの勝手さ加減が齟齬をきたしたに過ぎない。永野曜一さんにも盛本学史さんにもそれぞれの持味はあり、まだまだ発展途上である。願うことは今後も続けきることであり、リリシズムを支える造形に思いを致して欲しい。チャンスを得たのだから可能性を徹底して掘り起こし、次回、次々回の発表へ向かって全力疾走を期待したい。
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