中野中の足裏庵日記(56)あたたかく深みを増した<みやこ色>      
2006/10/11記
某月某日
「みやこさんは作品たちについて、周囲にあるもの、出会ったもの、身近な風景など、自分の日記のようなものだと言っています。それらの日記の各断片には独特なみやこWORLDが展開されています。日記を読みとき、みやこWORLDを体験して下さい。」とDMにある。
高輪画廊では毎年連続の第5回個展(9/25〜10/7)になる。私は第1回展の折に、色のセンスのいい、自分の色彩を持っている人と感じたが、年々成長し、今回は大きく飛躍し、その色彩に広がりと奥行きをもつ深々とした思いがやどりはじめたようだ。


某月某日
出品は『田園』(F50×2)、『Soul flowers』(M100)、『隠れた価値』(M50)、以下、30,20,10号からサムホールまで20点、風景でも花でも日々の画家が見慣れた世界ばかりである。
いくつかの作品に散文詩のようなコメントが添えられていた。

「いつもの場所で/いつものながめ」「ずっとずっと変らない場所/ずっとずっと変らずにと願う場所」---これらは風景作品。花の作品にもある。

「あたたかく、やさしく/包みこんでくれる/ひとりひとり もっている/心の中の花」

これは私がもっとも惹かれた「Soul flowers」に添えられたもの。4弁の花と葉が幾枚か連なっているだけの絵だが、大きな画面いっぱいに溢れるような朱色がすばらしく魅力的だ。まさに「あたたかく」「やさしく」「包みこんでくれる」色だ。孤独な心を癒してぬくめてくれる。その色は目の前にある色でありながら、孤独な心のどこかにある色。それが響き合って「心の花」となるのだろう。


某月某日
それにしてもこの色は何と呼ぶ色なのだろう。広く言えば朱色だが、丹色でもないしトルコ赤とも微妙に違う。いっそ<みやこ色>とでも呼ぶことにしようか。
おそらく見慣れた風景の中で、花の前で、目を閉じて静かに流れる空気を感じ、閉じた目蓋にうつる色なのかもしれない。
彼女ははじめからそうだったのだろう。ただそんな自分にいくらかの自信と、自分を後押しできる勇気を持てるようになったのだ。だからこそ私にも強く響いてくるのだ。

「もう決めたのだ。
ゆっくりと自分の歩幅で歩いていこう。
自分を信じ、まっ直ぐに。」

----「幸福の路」(2005年)へのコメントから。




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