中野中の足裏庵日記(70) 赤兎馬展      
2009/10/24記



某月某日
〈赤兎馬〉の第2回展が開かれている。(10月19日〜29日)。
DMによると、赤兎馬は中国の四大奇書の一つ『三国志演義』(明代の羅貫中作)に、「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」とあり、一日に千里を駆ける稀代の名馬として知られる、という。


某月某日
6人のメンバーそれぞれが20号から小品の3点出品。
激しい原色を大胆に使いきる赤堀尚の「木瓜三つ」(8F)、四方八方に枯枝を伸ばす大樹が私には千手観音のようにみえた赤塚一三の「ルッカの大クヌギ」(20P)、ベネツィアの建物と水から何もないトスカーナ風景に新しい視差しを展開する遊馬賢一の「トスカーナ小景」(4F)、蝦夷富士(樽前山)にこだわり続ける遠藤力の、乾いた陽射しをとらえた「冬日」(12F)、田口貴久の卓上静物3点のうち、抽象構成ともとれる「血の静物」(4F)、風景から静物へモティフを移した富沢文勝の「グラス」(8F)など、いずれも自前の画風(個性)をもった面々の、充実の作品群は見応えがある。


某月某日
オープニングパーティのなかで、出品者のどなたかが、「いまさらながらいろいろ悩み迷うことがある」というようなことを話していた。それで思い出したのが、ことしの春先、野見山暁治さんと何かのパーティの立話のなかで、「オレ、絵がだんだん解らなくなってきたよ、絵って、何なんだろうな」とつぶやくように言っていたことだ。
まだまだ若輩の私だが、つい最近、こんな一文を知人のDMに寄せている。


某月某日
人生を、逆算するような歳になると、ますますわからなくなってくる。
絵って何だろう?
生きるって何?
女って?
わからないから今日も描く。描いたからって、わかるものでもない。
ただ、その行為の傷跡だけは、何かを語ってくれそうだ。
その後姿のように。・・・・


某月某日
還暦を過ぎてからの私の座右の銘は〈無悟〉である。
(2009.10.24識)




中野中プロフィール up/足裏庵日記バックナンバー

HOMEロゴ
- Topics Board -
Skin by Web Studio Ciel